壁紙じゃないの

寒波のために体感温度マイナス30度。冷凍庫より低い気温の極寒のこの時期、外に出ることを極力避ける毎日。クロッカスの花開く春が待ち遠しくなります。今回はそんな冬のある日に始まったプロジェクトのお話・・・。


時は遡って2009年12月。クリスマスまであと2週間という極寒の日にこの家に引っ越してきました。引越しの片付けとクリスマスの慌しさに追われるうちに新年を迎え、ふと気づくと毎日明け方3時までダンボールとの格闘の毎日。キッチンとオフィスは機能するようになったものの、他の部屋はまだまだほとんど手つかずのまま。開けても暮れてもダンボールから解放されない日々にうんざりしてきたので、他のことをしてみることに。だけど、壁にペンキを塗るには気温が低すぎるしペンキの匂いが家の中にこもるのも嫌なので、ペンキ塗りに向けての下準備をすることにしました。その下準備とは壁紙剥がし。

今に残る70年代以前に建てられた家主が20−30年くらい変わっていない家の多くは必ず一部屋は壁紙に覆われてると言っても過言ではないほど。まぁ手軽に部屋の雰囲気を変えられるってことを考えればその人気も納得。家が古いほど壁紙が5層6層と張り重ねられているのは珍しくなく、特に60年、70年代の壁紙は当時の世相を反映してその柄もひどい趣味のものが多い。以前住んでいた家が70年代築でそのキッチンの壁紙は「なんでー!」と叫びたくなるくらいの安っぽい柄に唖然とした憶えも。その時代によって違った素材の壁紙や糊が使われているのと層の厚さによって壁紙剥がしは厄介な仕事になります。…ってなわけで、壁紙剥がしに涙と笑いに絶えない話が多いのも事実。


1925年築の我が家も例外ではないものの前の家主が壁紙撤廃プロジェクトをしてくれていたらしく、ダイニングルームとランドリールームの2部屋が壁紙、ベッドルームはボーダーのみ。おかげでずいぶん楽させてもらえそう。

チャドの義姉が古い農家に住んでいた頃、水で濡らしたり、ドライヤーで糊を温めながら、または壁紙の糊専用の溶剤を使ったりとやはり壁紙剥がしに手を焼いたという話を聞いていたのでまずはリサーチ。こんな時Googleってありがたい。私たちと同じように古い家に住む人たちのいろんな失敗談から成功例までを寄り集めてみたところ、壁紙の素材には文字通り紙とビニール製のものがあり当然ビニールのものは水や溶剤が浸透しないから紙よりも厄介だということがわかった。幸い我が家のはどれも紙なのでちょっと救われた感じ。糊を剥がすには溶剤、熱、水分の3つ方法が主流。彼女は水と柔軟剤を混ぜたものが一番効果的だと言ってたけど、手軽さから考えて水だけでどれだけ剥がすことができるか試してみることに。

まずはダイニングルームから。この部屋全体が壁紙なんだけど、窓が3枚、建て付けのキャビネット、ドア、それからリビングにつながる大きな明け放しのおかげで壁紙の張られている部分は部屋の大きさに対して比較的少ないので初めて挑戦するにはちょうどいいかもと考えたのだ。

これがその壁紙。フォーマルなダイニングルームに十分な要素が揃っているにもかかわらずこの柄を選んだ以前住んでいた老夫婦はもっとアットホームな感じにしたかったのかなぁ?どのくらいこの壁紙が使われてきたのかは知らないけれど、日に焼けて色褪せているのが気になって仕方がなかったところ。

壁一面を霧吹きして壁紙を剥がしていくことにしてみた。霧吹きしてしばらく待ってみたものの、剥がれ具合がよくない。壁紙の端の部分は水が染み込むのだけど、他は全然内側まで水分が行き届いた様子がない。近所のホームセンターに出かけてみることにした。

お店には壁紙を貼ったり剥がしたりするのに使う道具が通路いっぱい。ひとまず壁紙に小さな穴を開けるのと剥がすのに便利そうな二つの道具を購入。このギザギザの歯車がついたので壁紙の上からゴロゴロすると壁に面した歯車が歯車そのものの動きとは別に中心の軸をもとに360度自在に位置を変えながら壁紙に穴を開けていく仕組み。

ヘラ型のものが主流だけど、これなら角度を気にせずにいつも同じ角度から剥がせていけるから壁を傷つけずにすむかなと思って試してみることに。

ゴロゴロの後に再び霧吹きして待つこと数分。糊がゆるくなって少し楽に壁紙が剥がれるようになった。幸いこの部屋は壁紙の層が1枚だけだったので、壁紙の下から漆喰が現れた。写真では見えないけど、よく見ると所々壁から茶色い毛が生えてるの。っていうと気持ち悪いけど、この家が建てられた時代には漆喰に馬の毛を混ぜて使うのが一般的だったらしい。日本だと藁を混ぜるところだよね。ところ変われば…です。

土日かけてあと一面を残したところでタイムアップ。週末はいつもあっという間に時間が経ってしまうのが困ったところ。ここまで来ると、先が見えてるから翌週末に一面仕上げるのは苦にならないのだけど、あと一面だけに仕上げてしまいたいというのが本音。

最後の一面の壁紙を剥ぎ終わって壁をよく見ると結構凸凹。まぁそれはそれで古い家の魅力だよと言って済ませることもできるのだけど、目立つところだけタッチアップすることに。その一方でペンキを塗る前に下地を塗るべきかどうか検討。これまたインターネットのお世話になると、レイテックスの下地を使ってペンキを塗ったら1週間後に下地ごとペンキが壁からつるりと剥げたなんて話を見つけ、乾くのに時間はかかるけど油性の下地を使うことにした。レイテックスと違って匂いもきついので窓を開け放しにできるくらいまで暖かくなるのを待つことに。


時は流れてその年の10月。ようやく下地を塗り終えたところ。部屋が随分明るく見えるのがちょっと嬉しい。

ローラーはムラなく綺麗に塗れるのだけど、手がこんなことに…。

続けて地色を。少し色が加わるだけでこんなに大違い。


仕上げにEtsyで見つけたステンシル。この頃ダマスク柄が流行り始めた頃だったのですっかり影響されてしまった。Etsyのショップはなくなってしまったけれど、このステンシルを買ったお店はMaison de Stencilsで今も健在。素敵なステンシルが揃っています。

パターンが細かいだけに一箇所仕上げるとにじみを防ぐのにステンシルと洗わなければならず作業は遅々として思うように進まず、なんでステンシルなんかしようと思いついたんだろうって何度も後悔しながらようやく完成。仕上がりには満足だけど、もう二度とこの手のステンシルはしないと思う。





これでおしまいってわけでなく、壁が仕上がると天井がやけに白っぽく見えてはじめた。一度気づくといつも目について仕方がない。そんなわけで天井にもペンキを塗ることに。本当は天井からペンキを塗り始めるのが一番効率いいのだけど。

天井の色はステンシルに使った色と同じなのだけど、光の反射具合の違う天井だと違う色に見えるからびっくり。天井が仕上がると以前よりも壁の色としっくり溶け込んでずっと統一感を増した感じ。



壁紙を剥ぎ始めてから2年が経ってました。

ダマスク柄のせいかみんな壁紙だと思うらしく「この壁紙いいね〜。」って言ってくれるのだけど、実はステンシルなの。

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