記録的大雪だったんだけどね—雪国の暮らし

先週の大雪の前日に日本の友人から「ニュースでそちらは、大雪で大変!って今日やってたよ。」と聞いたので、NHKのサイトを見てみたらなんだかすごいことになってるように書かれてたのでびっくり。報道されると大げさに響くけど、ぜんぜん普通だよん。カナダまで車で4時間のところに住んでればこのくらいの雪は毎年降るのです。今回何が特別だったかって言うと、この冬は例年になくこれまで雪が降らなかったのにこの時期になって突然の1978年以来の記録的な積雪と真冬に台風並みの低気圧が南からやってきたこと。当然雨が降るところがこの時期だと雪になり、そんな大きくて強力な低気圧だと積雪量も増すわけですね。

州が非常事態を宣言するのは珍しくなく、これは住民に注意を促すのが主な目的。大雪のたびに学校や企業が閉鎖するのは雪国ではごく普通なのです。なぜかというと、雪の積もる間にみんなが道路に出れば除雪作業が難航し、その間に事故が起こって渋滞が始まり、さらに雪が降り続き渋滞に巻込まれた車は雪で身動きできなくなり、パトカーはもちろん救急車や消防車、レッカー車が渋滞と雪で事故現場にたどり着けなかったりと困ったことのドミノ返しになるから。そうそう、先日路面が凍結してたらしく高速で50台の玉突き事故が起こったところ。…そんなわけで、みんなの安全と早期復旧のために州が非常事態宣言したり、外出禁止を要請したりするのです。とはいってもアメリカ人、そんな中自分本位にウロウロする人たちも少なくないのにも驚かんよね。

マサチューセッツの北に位置するバーモント(カナダの国境沿いの州)に留学していた友人は「大雪が当然のバーモントでは雪での休みがなかった。」とポツリ。マサチューセッツはまだまだ修行が足りないらしい。

大雪で困るのは屋根の雪の重みで建物が潰れたり(なんでも積もれば重たくなるもの)、枝に積もった雪の重みで電線上の木の枝が折れたりまたは木そのものが倒れたりして電線が切断されて停電したり、道路で倒木があちこちで起これば処理が間に追いつかずに交通が遮断されてしまうこと。寒さで水道管が破裂することもあります。

今回の大雪は先々週の土曜日から始まりました。

1月24日土曜日

朝6時半にマリリンと散歩に。まだ誰も足を踏み入れてない雪の上に二人で足跡をつけてまわりました。まっさらな雪の上に一番最初に足跡をつけるのはいつもちょっとワクワクしてしまいます。

この冬はこれまで雪が降らずに去年のクリスマスは珍しくグリーンクリスマス。「雪がないからいつもの冬より寒い。」とか「来年の夏は水不足になりそうだ。」と話してたところ、この日感謝祭以来の積雪、湿気の多い重たい雪。ぼた雪(または牡丹雪)っていうやつですね。ヒラヒラと大きな雪片が舞い降りるようすはきれいだけど、水分が多くて凍りやすいので厄介もの。屋根や木に積もるとその重みで負担をかけるばかりか、路面に積もれば氷になって危険。こんな感じで夕方まで降り続きました。


1月27日火曜日

州の非常事態宣言でこの日はお仕事お休み。なんだかすでに夕方のようにどんより暗くて憂鬱な感じ。月曜日の夜から降りはじめて朝8時半でこの雪。190センチのチャドの膝丈まで積もってます。この時点でマリリンはすでに外出拒否。この犬は喜び庭駆けまわりません。たぶんお腹にファスナーがついてて中に猫が入ってるんだと思う。

この日の雪はふんわり軽い粉雪。強風が地面の雪を蹴り上げて空から降ってくる以上の雪が宙を舞い辺りがぼんやり霞んでます。

毎度大雪が降る前は「念のため」にみんな日用必需品を買い込むため、スーパーやホームセンターはごった返します。「もしどこかの道路に何か起きて物資が入ってこなくなったら…。」「もし停電になって復旧するのにしばらくかかったら…。」「もし水道管が破裂して断水になったら…。」みんなありとあらゆる「もし…」を思い巡らせて買い物するのです。大雪の降るのは半日だったり丸一日くらいで、除雪作業が終われば大抵すぐに普通の生活に戻るんだけど、無人島に漂流するのを想定したかのようにやまほど食べ物を買い込む人たちにはびっくり。たまにその「もし…」が起こってしばらく不自由することもあるけれどね。それだけ大騒ぎしながら、雪が降り始めるとみんな朝はゆっくり朝寝したり、のんびりコーヒーを飲んで一日を過ごしたりするのです。緊張感ゼロ。

今回は記録的な大雪の予報だったので、我が家の大雪対策の買い物は水とマッチ。パントリーにも冷凍室にも十分な食料があったし、ロウソクもたくさんあるし、暖炉の薪も十分だからそれで十分。そのほかは月末だからしばらく停電になった場合を考慮して自動引き落とし以外の月初めまでの支払いのスケジュールを全部済ませたくらいかな。そうそう、停電すると掃除、洗濯できなくなるから日曜日には念入りに掃除。火曜日の朝まで思いつくもの全部洗濯してしまいました。

正午。どうやってこんな風に積もったのか謎なのだけど…。まだまだ雪は降り続けます。

1時半。雪が少し落ち着いてきました。でもまだ降り続いてます。

よく降ったねぇと、土曜日の積雪と比べてみました。階段の左側はハーブガーデン。土曜日には見えていたセージがすっかり雪に埋もれています。ポーチからソリで滑れそうだよね。因みにセージはこの程度では枯れません。春になるとまた新芽を出します。

お隣のオルガのお家への小道はお互いの犬たちが行き来できるように、それから用が足せるように(こっちの方が主な目的なんだけど)。マリリンは自分の背丈ほど積もった雪に戸惑い気味。視界が遮られると不安になるよね。

チャドが雪かきをする間にアップルサイダーを温めました。秋冬の時季もの、アップルサイダーは生絞りのりんごジュースです。りんごの収穫の始まる夏の終わり頃からお店に出回ります。冷たくても美味しいけど、温めるとりんごの甘い香りが部屋じゅうに広がって幸せな気分になります。そのまま温めるて飲む人もいれば、温めてシナモンを加えるのが好きな人もいます。私はマリングスパイスを入れて温めたものが好き。マリングスパイスはオレンジピール、シナモン、オールスパイス、クローブなどが入ってます。赤ワインやアップルサイダーに風味をつけるのに使われます。スパイスの配合の具合はメーカーによって様々なようで味も微妙に違います。

夕方、庭にやってきたカーディナル。赤いのがオスで、他の3羽がメス。どうやらこのオスはイケメン?真っ白な雪の中にこんなに艶やかな赤だと目立って仕方がなさそう。鷹やほかの大きな鳥に狙われやしないかと心配です。

午後の散歩道で見かけた消火栓。

暗くなるとともにまた雪が激しく舞い始めました。


1月28日水曜日

引き続き州の非常事態でこの日もお仕事お休み。前日雪が夜まで降り続いたため、この日ひき続き雪の処理が行われました。7時半、マリリンと朝の散歩に出かけました。この日の朝はマイナス10度以下、ダウンのコートを着てても冷たい空気を感じるほど。

最低気温がマイナス10度以下の日が続けば窓ガラスも凍ります。正しくはガラスが凍るのではなくてガラスのまわりの湿気が凍って付着したものなのだけど、雪の結晶のいとこみたいでしょ?

雪が降ると道路の脇に雪を押し寄せるので道幅がいつもより狭くなります。この写真だとどこからどこまでが道なのかもよくわかんないよね。粉雪の上を歩くと片栗粉の上を歩いているような感触でザクザクと音がします。踏んでも雪が解けないのがぼた雪との大きな違い。

フラ雪だるま。かわいいけど、よく見ると目が一つだけだったりするのだ。

我が家の庭はこんな感じ。どのくらい雪が積もったのか測ってみました。

バードフィーダーのところで55センチ。ポーチからの階段を降りたところ、ハーブガーデンの側は85センチ。

我が家で一番雪の深いところは90センチ。

見慣れてるけど、何度見てもクスリとしてしまう足跡。この日は見られなかったけれど、ウサギやリスの足跡を見つけることもしばしばです。

この時期一日中零下なのにそれでも日中雪は解けるのです。不思議だと思うのは私だけ?そうして大きな氷柱になります。


日曜日、月曜日と大騒ぎしたのに木曜日にはどこも何事もなかったかのように平常に一日が過ぎていきました。っていうのがいつものパターンで今回も例外ではありません。

2月1日日曜日

スーパーボウル・サンデイ、フットボールの優勝戦。今年は地元のニューイングランドペイトリオッツがシアトルシーホークスとアリゾナで対戦。スナックやドリンクを用意してみんな夕方のゲームに備えます。私はぜんぜんスポーツに興味がないから「なんでそんなに熱くなんの?」って感じなんだけど、彼らにとっては大事らしい。結果はペイトリオッツの勝利。チャドは興奮気味で眠れないらしく、スポーツチャンネルを見ながら余韻に浸っているところ。

月曜日はまた大雪が降るとの予想。スーパーボウルで浮かれているどころではないのだ。今のところ、30センチほどの積雪だと言われているのだけど、今回は非常事態宣言もなく明日は通常出勤、ちぇっ。まぁ、今さら30センチ降っても降らなくても大した変わりなさそうだよね。

ボストンや近郊の町ではすでに路上駐車禁止になっているそう。これも除雪作業がしやすいようにとのことなのだけど、ふだん路上駐車してる人たちって自分の駐車場がないんだよね。でも車動かさないとレッカー移動されるし、ボストンの駐車料金って高いし、みんなどうしてるんだろう。さらにひどいのは除雪作業が終わった後も路上駐車できないんだよね。駐車スペースには除雪作業で山のように押し寄せられた雪がしばらくなくならないだろうし。

ボストンの除雪作業はあまりよくないです。排水溝が雪で塞がれ、車道と歩道の境には黒いみぞれ状になった雪が大きな水たまりとなって歩行者は難技します。朝にはその水たまりが凍って特に危険。それでもピンヒールで通勤する人を見るからもっとびっくり。

明日はマリリンと一緒にお家からお仕事。仕事にならないかも…、(^◇^)


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