Saturday, April 20, 2013

今週のボストン〜ボストン・マラソン爆弾テロ

ご存知のようにボストン・マラソン爆弾テロの容疑者の身柄が確保されたので、ボストンとその近郊でのこの一週間を振り返ってみます。

月曜日はマサチューセッツ週の祭日、ペイトリオッツ・デイ。毎年この日はボストン・マラソンが開かれるため地元ではマラソン・マンデイとも呼ばれてます。マラソンのために交通が市内のあちらこちらで遮断されるのとイベントの人だかりに普段でも渋滞気味のボストン市内は更に混雑するので市内の企業はこの日をお休みにするところも少なくありません。そのおかげでこの日は私もお仕事お休み。

夕方この惨事のことを知りました。インターネットに掲載されたビデオに唖然。馴染みの通りが一瞬のうちにまるで映画のシーンのように現実離れした場所に変わっていくのを感じました。「Oh my God, oh my God...」とつぶやきながらカメラをまわし続けるカメラマンの動揺した様子が不安定な画面から伝わってきました。マラソン完走者の歓喜の様子を捉えるはずがこのような状況を捉える事になるなんて思ってもみなかった事でしょう。歩道の血溜まり。煙の向こうに大きなウインドーの壊れたお店。ビデオに怪我をした小学生低学年くらいの男の子が運ばれていくのを目にしました。

火曜日、交通機関は定時に運行。いつもは満席の朝の通勤電車では空席が目立ちました。ボストンにはノース・ステーションとサウス・ステーションの二つの駅が他の町とボストンの接点になっています。ニューヨークのペンステーションのようですね。ノース・ステーションにはボストン以北の町からの電車が、サウス・ステーションにはボストン以南の町からの電車が乗り入れます。遠くはメイン州、ニューヨークまで行くことができます。そんなわけで、事件のために駅の警備は厳重。お巡りさんからナショナルガードの姿が駅構内のあちらこちらに。学校が春休みのため普段より人通りが少ないのは当たり前なのだけど、これほど人がまばらになることはありません。いつもは足早に職場へ向かう人たちで込み合う通りは週末の朝のような静けさ。政府関連の建物が密集するケンブリッジ通りの交差点や通りにも一般市民より警官の姿が目立ちました。この辺りは事件の現場から徒歩圏内にあたります。

私の職場から現場へは歩いて20分くらいです。職場の建物の警備も厳重になっていて、いつもはIDを入り口のゲートでスキャンするだけなのだけど今週は州警察の職員が直にIDをチェック。事件の目的がはっきりしないため次のターゲットを防ぐのには納得のいく対応です。

午前中に州知事からのお互いを思いやるようにとのメッセージが届きました。パトリック州知事は人間味のあるとてもあたたかな人です。事故や自然災害など事が起こる度にいつも思いやり溢れる対応をされます。職場では誰も事件のことを口にすることなく、まるで何事もなかったのように一日が過ぎていきました。火曜日の午後には容疑者逮捕の誤報が流れたりもしましたが、誰も混乱することなく、被害者を援助する機関が設けられ、現場には花やテディベアが供えれた様子が報道されました。

「なんでテディベア?」って思うでしょ?私もあまりはっきりとは知らないのだけど、アメリカでは小さな子供たちは男の子女の子に関わらず自分のテディベアを持っています。毎晩一緒に眠りにつくばかりでなく、不安になったり怖い思いをしたときにはテディベアを抱きしめて育つのです。不安解消の友といったところでしょうか。病気のお見舞いにテディベアが添えられる事も珍しくありません。供えられたテディベアには不安や恐怖の思いがなくなりますようにとの思いがこめられているようですね。

火曜日の午後には朝よりも警戒の色が濃くなり、通りには防弾チョッキにライフルを手にした警官が街角に目につきました。ライフルはもちろんオートマティック。「そんなの発砲されたら通りの人たちみんな死んじゃうよ」っていうような武器。この警戒体制で写真をパチパチしていると不審に見えるので残念ながら写真なしです。

水曜日、木曜日には町は普段の人通りが見られるようになりました。ご承知のようにFBIが容疑者の写真を公開し市民に協力を呼びかけ、木曜深夜にMITで銃撃戦が起こります。

金曜日の朝は普段と変わりなく始まったものの、近所の人から出かける前に電車の運行状況をチェックするようにと知らされたのでMBTAで警報を確認。地下鉄、バスを含めるすべての線が告知があるまで運休との掲示。普段の警報は事故のためとか故障のためとかもっと情報があるのに何の情報なし。この時点でボストンで何か起こっていることを察知。普段出勤の準備をしながらテレビを見る習慣がないのでこの時点では前夜の事件を知る事はありません。州のサイトにはボストンとその周辺の町の市民に家の中で窓から離れて待機し警官以外にはドアを開けないようにと警報が掲載されました。ボストンの日本領事館からも日本語版の警報がメールされてきました。ボストンへの交通機関が遮断されたため、仕事はお休み。この日のボストンやケンブリッジはまるでゴーストタウン。警報地域に当たらない町では人々は仕事へ向かい普段通りの金曜日となります。ボストンから40分しか離れていない私の住む町も警報地域の町の緊張感とは打って変わって平和に一日が過ぎていきました。

夕方からウォータータウンの住宅街からの中継をチェック。とはいうものの報道陣の安全確保のため、カメラの設置は現場からずっと離れたところだったので現場中継とはいうものの何が起こっているのかはあまり伝わってこなかったのが実情。容疑者の家宅捜索の様子などが伝えられ、事件とは関連のない容疑者の家族が気の毒になりました。どんなときも「うちの子に限って…。」というのは親心ですね。9時半頃容疑者の身柄拘束の報道が流れ、市民は通りに姿を見せ警察やFBIに歓声が送られるのが報道されました。

多くの人たちが事件が解決したかのような歓喜に満ちているものの、まだ何も解決していないのが現状です。容疑者の拘束は最初の手がかりにすぎません。マスコミによってはこの事件をイスラムのテロリストと関連づけようとしている様子がチラホラしていますが、事実は定かではありません。偏見に捕われた報道は人の心を左右し差別の意識を高めいわゆるhate crimeを煽動しかねません。連邦検事もまだ明らかでない事がたくさんありこれからの調査が真相を明らかにしていくと昨夜の記者会見で述べていました。だけど、昨夜のニュースが被害者や被害者の家族や友人たちにとってなんらかの心のけじめとなってほしいと願わずにはいられません。

金曜日の深夜には州の警報は解除され、今日は交通機関が運行されています。みんなの心に平穏が戻りますように。

被害者の人たちの力になりたいと思われたら、マサチューセッツ州知事とボストン市長によって設立されたワン・ファンドは援助の窓口のひとつです。

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